レナード現象には理由がある (ジェッツコミックス)



    2006年に出ていた、川原泉さんの新作。
    オムニバス形式で、4つとも同じ私立の進学校を舞台にした話です。



      ・レナード現象には理由がある
         〔人を癒す能力を持った女の子の話〕


      ・ドングリにもほどがある
         〔公園でドングリ拾いをするのが好きな女の子の話〕


      ・あの子の背中に羽がある
         〔やましい気持ちではなく、
          隣に住む小学生の女の子に好意を持った男の子の話〕


      ・真面目な人には裏がある
         〔長男にゲイであることをカミングアウトされた一家と、
          その恋人一家の波乱〕


    川原さんの昔の歴史物(「バビロンまで何マイル?」とか)
    なんかに比べて、文章もストーリーも柔らかいので、
    初めて川原さんの作品を読む人にもおすすめかも。



    もちろん、独特の「間」とか、
    ゆるいギャグ、のほほんとしたキャラクターは健在です!



    登場人物たちが、なんていうかこう、
    偏見もなくフラットに物事を見ている人達で、
    読んでいて結構気持ちがいいです。
    翻訳物の小説を読んでいる時のすっきり感に似ているというか。



    必ず良い人たちが出てくるんだけど、
    押し付けがましくもなく、恩着せがましくもなく
    素朴な暖かさなのがなんともいい感じです。



    一番印象に残ったのは、人を癒す女の子の話
    「レナード現象には理由がある」かなあ。
    主人公の家族がなんとも、素敵なんですよ。
    (落ち込みモードに入ると、絵がおサルさんに変わる・・・・!)



    あとは「あの子の背中に羽がある」のセリフ、
    「変態は自分の事しか考えない。
     まず先に相手の事を考えられる人は
     絶対に変態とは言わないんだ」
    という言葉に色々なことを考えさせられました。