ドビュッシーが晩年に書いた室内楽曲集。

       第一次世界大戦の開戦が布告されると、
       ショックで何も手につかず、作曲活動を休止していたドビュッシーが、
       1915年になって、戦えないのなら自分のできることによって
       反戦を訴えようと猛然と作曲を始めます。
       その時期に「様々な楽器のための6つのソナタ」を書くことを計画します。
       病気との闘いなどがあり、3つのソナタを遺して
       ドビュッシーは生涯を終えます。
       この3曲はすべて妻に捧げられたそうです。
       計画のみに終わった残りの3つのソナタは、
       オーボエ・ホルン・チェンバロのためのソナタ
       クラリネットファゴット・トランペット・ピアノのためのソナタ
       ピアノ・アンサンブルのためのソナタ
       という編成を考えていたそうです。
       少し変則的な編成だけに、これが完成していたら面白い曲に
       なっていただろうな、と思います。



       「フルート・ヴィオラとハープのためのソナタ」(1915年)は
        最初ヴィオラではなくオーボエとの編成で計画していたそうです。
       違う音質がぶつかり合うことによって、旋律が引き立つことを
       計算して変更されたのだろうと考えられています。
       天上に昇っていくような優美な雰囲気です。
       
       「チェロ・ソナタ」(1915年)は
       すごくディープで現代的な感じです。
       第3楽章ではとてもスピード感あるスリリングな演奏が聴けます。
       
       「ヴァイオリン・ソナタ」(1916-17年)は、
       ジプシー風の旋律があったり、少しエキゾチックな雰囲気です。
       変幻自在に、華やかな世界が広がっています。


      
       「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」は1904年に作曲されました。
       ドビュッシーが特に好きだった楽器ハープと、小オーケストラ
       の編成で書かれています。
       東洋的な旋律が入っていて、ハープのフレーズが
       日本の琴に少し雰囲気が似ています。
        ちょっと幻想的でとても奇麗な曲です。


         2000年にワーナーから出た廉価盤。
         1962年にパリで演奏された録音です。
         ランパル(フルート)、トルトゥリエ(チェロ)といった人達の
         繊細で華やかな演奏です。